比嘉愛未|人物|NHKアーカイブスBS時代劇 酔いどれ小籐次(2013) おりょう役 ②
比嘉愛未ひがまなみ 俳優
BS時代劇 酔いどれ小籐次(2013)
おりょう役


インタビュー
この作品は何と言っても竹中直人さんとの出会いが大きかったです。ずっと小籐次さんのことが大好きな、昔ながらの奥ゆかしい……一歩どころか二歩も三歩も引いて見守っているような女性の役だったので、楽しかった思い出しかないですね。時代劇は所作や言葉づかいが難しかったりするんですけど、竹中さんがいらっしゃるだけで場がすごく和むんですよ。ピリッとさせるような空気を感じると、すかさず和ませてくださって。そんな竹中さんが座長の座組にいられて幸せだなぁ、と思いながら3か月間お芝居をしていました。
撮影の合間の雑談で、「どうして、このお仕事をされたんですか?」と聞いたことがあるんですけど、最初は美術の学校から始まって……お笑いをやってみたり、試行錯誤をされて役者をしたり歌ったり監督をしたり、いろいろとご自身の可能性を広げて追求していったというお話を聞くにつれ、尊敬の念が深まっていって、すごく刺激を受けましたね。
小籐次のメリハリのつけ方が竹中さんと重なって、すごくピッタリのハマリ役として演じていらっしゃって。私は純粋にそんな竹中さんの人間味が大好きで、役づくりではなくどんどん愛情が深まって、仲良くさせていただきました。そういう意味でも、「人との出会い」の大切さをしみじみ実感した作品です。




最近はお会いできていないんですけど、この作品の撮影後に〝竹中会〟なる、竹中さんがオススメする映画を一緒に観に行って芝居談義をする──といった会を催してくださったりと、私のような後輩をかわいがってくださったので、貴重な出会いだったなと思います。映画をあまり観ていなかった私に、「これは観た方がいいよ」と、どんどんオススメの作品を教えてくださって、会うたびに魅了されました。ストイックに仕事に取り組みすぎてガチガチになるのではなくて、趣味のごとく楽しんでいらっしゃる姿が、「こんな大人になりたい」と思わせてくださるんです。NGを出したくなくて、ついつい真面目になりすぎてしまいがちな私に、柔軟に新しく発想を広げていくことの大切さを教えてくださった素敵な先輩との出会いでしたので、印象に残っています。


また、津川雅彦さんからもたくさんのことを学ばせていただきました。初めての共演でしたが、時代劇に取り組む姿勢や心構えなど、本当に数々教えていただきました。『盤上のアルファ』の近藤正臣さんもそうですが、単に役を生きるだけではなく、ご自身に人間力のある先輩方のような"役者"に私もいつかなれたら──と思います。
また、自分のコンプレックスを克服するきっかけの作品という意味でも、思い出深いですね。かつて「デコ」というアダ名をつけられたこともあって、自分の広いおでこがすごく嫌いだったんですけど、おりょうという役は思い切って前髪を上げる扮装だったので、最初はどうしたものかなと思いつつ……徐々に気にならなくなっていって。細かいながらも成長できたと思えたのも、収穫でした。


この時のプロデューサーが『盤上のアルファ』も手がけていらっしゃる佐野元彦さんなんですけど、『酔いどれ小籐次』もシリーズ化してほしかったなぁ(笑)。ただ、竹中さんは1人で何十人も相手に殺陣をなさるので、大変なんですよね……。激しい動きが少ない私が言うのも何ですが、いつかまた竹中さんの演じていらっしゃる小籐次と再会できることを願っています。


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