#3演技でもなく、人間関係でもなく…ステージが変わっても比嘉愛未(38)が「これだけは変えたくない」と断言すること | 文春オンライン
演技でもなく、人間関係でもなく…ステージが変わっても比嘉愛未(38)が「これだけは変えたくない」と断言すること
比嘉愛未インタビュー#3

『週刊文春』2025年4月17日号で、巻頭カラーグラビア「原色美女図鑑」に8度目の登場を果たした比嘉愛未。今年3月24日に芸能事務所「コンテンツ・スリー」に所属すると発表し、大きな"変化"へと踏み出した。20年にわたる芸能生活で、彼女がようやく見つけた"自分らしさ"とは?「誰にも媚びたくないし、気張りたくない」と言い切る、しなやかな姿勢について聞いた。 (全3回の3回目/最初から読む)
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大切にしている「自分らしさ」とは
——『フォレスト』最終話のモノローグで、楓は「自分の心には、もう、嘘はつかない」と語ります。きっと比嘉さんご自身もそれがブレないポリシーなんでしょうね。
比嘉 はい、すごく。それはもう昔から変えられないですね。多少の無理はしていたとしても、嘘は絶対についてない。そうすれば何があっても折れない。
『フォレスト』の一話で、(楓の母)鈴子が「オオカミが来た」と嘘をついた少年の話をしますよね。「嘘は一度でもつくとね、もう、他の誰のことも信用できなくなってしまう。それが嘘をついたことの一番の不幸であり、罰なのよ」というあの言葉ってすごく深くて……。やっぱりやってしまったことって自分自身に一番返ってくるので。
大切なのは、時にプライドをかなぐり捨ててでも周りの人に真っ直ぐ向き合うこと。そのおかげでできた仲間たちや家族の存在が、今の私にとって、とても大事な基盤となっています。
——インスタでも常に周りのご縁に感謝されていますよね。
比嘉 それしかないですもん。人との出会いが、一人では起こせない改革をもたらしてくれる。それがたとえ悲しいことだったとしても、反面教師にしたり自分自身を向上させるための勉強だと思ったり。結果、やっぱり感謝だなっていつも思いますね。
——これから様々な挑戦、変化をされていくなかで、「これだけは変わらない」と断言できることはありますか?
比嘉 「自分らしく」という精神はきっと揺るがないです。「私はこうだから」と頑固になるのではなくて、あくまでも柔軟に、だけど道を選び取る時はけっして自分に嘘をつかない。そうすれば、まず後悔しないですし、絶対的な自信にもなる。だからチャレンジすることを楽しめるのかも。
——しかも明かされる事実が、どれもまた非常に重みがあって。
比嘉 本当に毎回毎回、徐々に徐々にえぐられていくようでした。でも、視聴者の方々が楓と一緒になって、それこそ“森の中”に迷い込んでいくような感覚を体現できたのは新鮮でしたし、達成感もひとしおでした。あれだけエネルギーを使ったからこそ届けられたものがあったと思いますし、またひとつ、忘れられない役柄になりました。
感性に訴えかけるものを一切妥協せずに作っていきたい
——楓の目がとても好きでした。心が揺らぐような出来事が起きても、相手を真っ直ぐに見つめようとしていて。
比嘉 えー、ちょっと泣きそうになる(笑)。ほんと、そうなんですよ。動揺するけど、最後はちゃんと見つめる。それは意識していました。とくにサスペンスでは、視線のわずかな動きひとつとっても「図星を突かれた」や「嘘をついている」など、そこに意味が生まれてしまうんです。しかも『フォレスト』はアップのカットが多いドラマで、瞳がとてもフォーカスされるので。
登場人物の誰もが怪しく見えるなか……楓も終盤、ちょっと疑わしい瞬間がありましたが、彼女だけは視聴者を裏切らない、同じ目線の存在であり続けたかった。「信じたい」という思いを真っ直ぐな眼差しで表現しました。
——あと、岩田さん演じる一ノ瀬純との初デートでピクニックに行くシーンも印象的でした。純から手作りのかぼちゃの煮物をすすめられて、実はかぼちゃはそんなに得意じゃないけど「美味しい!」って無理して食べる時の顔がとても好きで。
比嘉 そう! 頑張って一口で頬ばってるの(笑)。
——食事シーンでは、比嘉さんが主演したドラマ『作りたい女と食べたい女』(つくたべ)を思い出しました。
比嘉 『フォレスト』の後半を撮ってくださったのは、『つくたべ』を監督した松嵜(由衣)さんなんですよ。お仕事を長く続けていると、こういうご褒美がありますよね。松嵜さんとの信頼関係もあって、『つくたべ』と同じく、本当にナチュラルな空気感のもとで楓を演じられました。
——自然でリアルな雰囲気だけれど、目が離せない緊迫感と予想を裏切る展開にも満ちていて。放送時は本当に次週が待ち遠しかったです。
比嘉 めちゃくちゃいろんな方にそう言っていただけました。やっぱり続編を見たいと、願ってくださるお声もありますし。でももし制作が決まったら、またメンタルを鍛えなきゃいけないな(笑)。
——最後まで楓には伏せられていた真実がまた衝撃的でしたね……。あまりにも残酷な運命でした。
比嘉 でも、ああいうハッピーエンドとは言い切れない、見る人に深く考えてもらうようなテーマもいいなと思いました。今は「わかりやすくしよう」という流れになっているように感じます。
私は作品を鑑賞する最大の醍醐味って、自分の人生に投影したり、登場人物に感情移入して考えをめぐらせたり想像したりとか、自分の感性を磨くことにあると思うので。アートや音楽、演劇だってそうです。だからドラマも「観やすさ」だけを追求するのではなく、感性に訴えかけるものを一切妥協せずに作っていきたい。そこは諦めずにやり続けたいですね。
演技から離れた素の魅力
——シリアスな演技の一方で、TVer限定で配信された特番でのはっちゃけ具合も可愛かったです。「酔っぱらうと踊り出します」とか、かなり赤裸々にお話しされていて。
比嘉 もう、ほんとに(笑)。前はあんまり自分を出さないようにしていたんですよ。私、見た目とのギャップがすごくあるタイプだと思うので。
だけど段々と「ま、いっかな、そろそろ」っていうスタンスになってきたんです。本分である演技にしっかりと向き合っていて、なおかつ人に不快感を与えない程度なら、何か発言するときに、素を出してもいいのかなって。それもバランスかなと思い、もうかっこつけてないです、最近。
——さっきお話しした、冴島はるか役をきっかけに比嘉さんファンになった友人は、ご本人の「素」の面白さが最高だと語っていました。「比嘉さんは鏡をのぞくたびに比嘉愛未の美貌に会えるのが羨ましすぎる」とも言っていましたが……。
比嘉 あはは(笑)。いやいや、そんな「あ……、比嘉愛未」(髪を掻き上げながら鏡をのぞく仕草)なんてやってないですよ! 人間なのでもちろんコンプレックスもありますし。
——「だけど、とんでもない美人なのに、すごく親しみやすさもあって、バラエティで見せる愛嬌や暴れっぷりがたまらない」と。
比嘉 「暴れっぷりがたまらない」って嬉しいですね。いい大人になってはきたんですけど、正直言いますと、自分の根本には沖縄でわんぱくに過ごしていた幼少期の感覚がずっとあるんですよ。もう、常に天真爛漫! そのエネルギーを今、思いきって解放しているんです。
役者としての比嘉愛未しか知らない人にはびっくりされるかもしれないですけど、逆にこの素も含めて応援していただけるなら、絶対に楽しませますし、裏切らない自信があります。だから信じて見ていてほしいです。
撮影 黄瀬麻以
ヘア HORI
メイク Kie Kiyohara
スタイリング 三本和朗
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